デザイナージーンズのはじまり。ラングラーの物語

世界三大ジーンズブランドとしてジーンズ発展の一翼を担ってきたラングラー。そのはじまりはノースカロライナ州にある小さな食料品店の屋根裏部屋でした。
wrangler-632724_1280

創始者であるC.Cハドソンとホーマー・ハドソン兄弟は、生まれ故郷のテネシー州から繊維の街として発展を遂げつつあったグリーンズボロに移住をしました。1887年のことです。C.Cハドソンは地元のオーバーオール製造工場に勤めた後、自身でミシン数台を購入。若くして独立を果たします。そして、1904年ハドソン・オーバーオール・カンパニーを設立。1919年にブルーベル・オーバーオール・カンパニーへと社名を変更しました。

どんなビジネスの発展も土地の力が欠かせませんが、この「ブルーベル・オーバーオール・カンパニー」という社名にも、地の利を感じさせるエピソードがあります。
グリーンズボロにはニューヨークとアトランタを結ぶ鉄道が通っており、そこで働く鉄道員たちはハドソンたちの上顧客でした。その鉄道員たちがハドソンたちに友情の証として蒸気機関車の警戒ベルをプレゼント。社名のブルーベルは、このベルが錆びて青くなったことに由来するとか。

当時の労働者に名実ともに愛されるワークウェアを作り続けてきたブルーベル・オーバーオール・カンパニーが大きく発展したきっかけが、1920年代に発売された「ダブル・サスペンダー」。それまでサスペンダーは、ウェストから立ち上がった2本のサスペンダーが背中で1本に統合されるスタイルが一般的でしたが、ダブル・サスペンダーはそのままバックサイドでも2本独立したままをキープし、さらにフロントには大きな前ポケットをあしらった機能的な胸当てつきのデザインを採用しました。必要な生地の量が増えた分コストが高くなったものの、1ダース50セントの値引きをするといった粋な計らいを行ったことも、市場をあっと言わせた理由のひとつです。

 

カウボーイの声を取り入れたデザイナーズジーンズの誕生

monument-valley-618363_640
さらに時は進んで、同社がさらなる事業拡大を目的にケーシー・ジョーンズ社を傘下に収めたのが1940年。「ラングラー」というブランド名は、このケーシー・ジョーンズ社が有するブランドのひとつでした。そして、1943年社名をブルーベル株式会社に変更。1947年には満を持してウェスタンジーンズ、ラングラーを誕生させました。このウェスタンジーンズは、ジーンズ史上初となるデザイナージーンズで、デザインを手掛けたのは、ハリウッドの西部劇衣装デザイナーとして活躍したロデオ・ベン。ベンは実際に馬に乗るカウボーイの動きを研究し、カウボーイが投げたロープをベルトやバックルに止めたときの強い力にも耐える強度あるベルトループを考案するなど、マニアの心をくすぐる機能的なデザインを取り入れ、その機能美に溢れたそのジーンズは、19世紀後半のフロンティアスピリットを讃えるカウボーイが活躍する西部劇ドラマもブームになったことにも後押しされ、大人気となりました。

1948年には名カウボーイ、ジム・ショルダースとも契約。広告でもフィット感やスタイリングなどの提案を行うなど、ラングラーはアメリカのフロンティアスピリッドのシンボルであるカウボーイをブランドアイコンにし、ますます市場の支持を得ていきました。1960年代に入るとさらなる品質の向上を追求し、1964年にはブロークンデニムを採用するなどの品質を改良。1975年にはついに全米プロ・ロデオ・カウボーイ協会がラングラーの13MWZを協会のオフィシャルジーンズに指定され、ウェスタン・ジーンズの代名詞として地位を確立しました。

ラングラーはジーンズ=ワークウェアというポジションからファッション性をまとっても、常に働く人の快適性を考えるアイデンティティを大切に守りながら、今日も世界中で多くのファンに愛されています。